teteria SUSUMU ONISHI

Interview
teteria SUSUMU ONISHI

2017. 10/28sat・29sun
TEA WORKSHOP &DESSERT PARTY Vol.3
美味しい紅茶とお菓子の時間

テテリア 大西 進  at PHAETON

スモークシナモンティーの誕生秘話

TEA WORKSHOP
 
TEA WORKSHOP
 
TEA WORKSHOP
PHAETON
スモークの紅茶の
誕生秘話があるとお聞きしたのですが、
どの様にして誕生したのでしょうか?
teteria 大西 進
そう、なんて言うんですかね。スモークティーに至るまでは、2年くらい前に、こちら(PHAETON)に来た時にですね、皆さんがシガーとかパイプを嗜んていたんですよね。それで、その風景がすごく良かった。格好いいなと。煙の揺れる感じとか、その男っぽさとか。女の人も好きな人いると思うんですけど、わりとこう男っぽさってあるじゃないですか。その煙の揺れる不安定なふわっとした感じとか風になびいてしまう不確かさみたいな、そういうのが煙から感じるわけです。

それで、弱さであり、強さであり、みたいなものが煙にある。そういう風景がまず良かった。いいなと思ったっていうのと、何か紅茶と楽しめないか、というのがありました。で、2、3年前に来てくださったお客様が、こう、みなさん格好いいじゃないですか。洒落ていて。洋服とか、表情も。こういうイベントに参加してくださる方の立ち振る舞いとか、すごく格好良かったんですよね。紅茶ってどっちかっていうと女性の飲みもの的なイメージがあるじゃないですか。
PHAETON
そうですね。
ステレオタイプなイメージがあります。
teteria 大西 進
それで、その時はそういう格好いい人に「飲んでもらっているな」っていう感じがしたんですよ。「飲んでもらっちゃってる」な、と。いつか、こういう格好いい感じで過ごしている方に、似合うような、寄り添うような紅茶が出せたらいいなっていうのを思っていて。そこに、その辺がくっついてこの煙の雰囲気っていうのが、皆さんに合っていたし、ちょっと面白いし、作っても楽しいし。またそんなのをね、家でやってもらえたら、楽しいなと。そんなところから始まりました。

それで、このシナモンというのがすごく甘いんですよ。その甘さと紅茶の味との合わさったもの。「スモークシナモンティー」って呼んでるんですけど。紅茶って、葉そのものの香味、味わいのものと、フレーバーティーっていう香料をつけたがお茶があるんです。その2種類があって、僕はそのままの味の方をずっと飲んでいて、香り付けをした方は、あんまり必要としていなかったんです。

どうせ飲むんだったらそのままの香りがある方が好きなんですよ。で、そうやってきたんですけども、このスモーキーな仕上がりのお茶っていうのが、古い中国の紅茶があるんですけど、その紅茶っていうのは乾燥させるときに松の木で燻すんですよ。その煙が出来上がった茶葉にまわって、その葉っぱに、松の木の燻製の香りが入るんです。「ラプサン・スーチョン」って言うんですけど。ちょっと正露丸みたいな香りのするお茶です。

まあ、そこを目指していたわけでは無いんですけれど、その香料のお茶に対するアンサーとして、その、木を燃やして煙を出してお茶と一緒に閉じ込めて楽しむ。そういうお茶が合致したというか。古いフレーバーティーにつながっていくっていう。ちょっと意味わかんないかもしれないですけど。笑
 
引用:現代紅茶用語辞典

正山小種|ラプサン スーチョン|Lapsang Souchong
中国福建省崇安で生産された正山小種紅茶。形状外観は粗いが、カップ水色は紅色で、こく味があり、松の煙香が強い特殊な紅茶。1840年のアヘン戦争の直後、中国社会は混乱し、崇安県の銘茶「武夷山の岩茶」の生産が激減したため、「偽岩茶」が出回った。やがてイギリス市場で充分に発酵させた紅茶の需要が集中したため、揉捻、発酵、乾燥を終えたあとで、さらに茶葉を竹製の篩のなかに入れ、そのまま木の桟につるして、その下で松柏の木を燃やして燻煙し、熱で再乾燥(中国独自の熱発酵)させた小種紅茶が、武夷岩茶の変形として誕生した。
PHAETON
いえ、すごいことです。
teteria 大西 進
結果そうなっちゃったんです。素材を求めていたら、そっちに近くなっちゃったんです。一番最初のところに近くなっちゃったんです。
PHAETON
ある意味、
紅茶が誕生して間も無い頃の
一番プレーンな紅茶に
辿りついてしまったわけですね。
teteria 大西 進
そうかもしれない、というところがありますね。それで、この煙の景色っていうのと、皆さんの格好よさみたいなものが、割と近い所にあると思っていて。今煙って生活から離れていってるじゃないですか。
PHAETON
そうですね。
teteria 大西 進
家の中ではもうあんまりないですし、BBQでもしないとね、火も使わないし。でもね、スモークの、そういう煙の魅力ってあると思うんですよ。なんかもっとこう、原始的な。
PHAETON
感覚に訴えるようなもの、でしょうか。
teteria 大西 進
そうそう、「おぉ〜」みたいな。やっぱり好きだし、焼いたものとかスモークサーモンとかもそうですし。ちょっと煙のまわった肉とかも美味しいですよね。タバコもやっぱり、葉巻も。煙がまわるっていうものに対して僕たちは、どこかで、根源的な所で魅力を感じているはずなんです。でも生活からはどんどん遠ざかっているので、そこに「この紅茶」です。
PHAETON
一石を投じられた感じがします。
teteria 大西 進
とにかく楽しい。
グラスの中でゆらめく
煙を見ているのは、
本当にいいですね。
PHAETON
本当に美しいですね。
初めて拝見したときは衝撃でした。
teteria 大西 進
ああいう景色、
いいですよね。
PHAETON
煙と一緒になることで、
その一瞬しか見られない景色が、
色以外にもまた生まれたわけですね。
teteria 大西 進
そうですね!そうそうそう。そういうことです。「見て欲しい」ってところが、あるんですよね。注目して欲しいっていうとあれなんですけど。やっぱり見せたいですよね。そういう部分では、煙を使って、楽しんでみて欲しいですね。
PHAETON
誕生のルーツがPHAETONにあった、というのは嬉しいですね。飲食のものでは味の話に集中しがちですが、その「見せたい」ということが・・
teteria 大西 進
そうそう。あるんですよ。「見せたい」んです。色とか。白い器が好きなんですけど、紅茶の赤が綺麗にうつるんですよ。そのための白。
PHAETON
instagramなどで、「この器にはこの紅茶がいい」と書いていらっしゃることがありますが、やっぱり器を買われる時にはそういう想像を膨らませて選んでらっしゃるんでしょうか。
teteria 大西 進
そうですね。やっぱりカップに関しては紅茶が映えることが第一で。紅茶がメインで。カップがあることでそれが引き立つというか。そういうカップが大好きですね。
PHAETON
そこはやはり
インスピレーションでしょうか。
「このメーカーのこのカップがいい」
ということではなく。
teteria 大西 進
あ、単純にあるんですよ。そういう法則が。縦長のカップだとどす黒く見えちゃうんです。開いているカップだと、光が入るので、赤く見えるんです。なので、こういう感じの平たい口の開いたティーカップなんです。脈々と美しい姿を見せてくれているヨーロッパの、いわゆるティーカップとか、ああいうのは本当に綺麗に見えるんですけど、いかんせん僕たちの生活の中にそれがしっくりこないんですよね。そこだけ英国風というか、それが好きな人はいんですけど、そこだけ急に柄物の食器っていうのはちょっとあんまり、自分にはのれないところがあって。
PHAETON
そういう意味での
「もっと生活に寄り添った紅茶」
があってもいい
ということなんですね。
teteria 大西 進
そうですそうです。
僕たちの生活に合ってる
紅茶を飲みたいですよね。
PHAETON
「紅茶といえばこんなイメージ」
というものが出来上がっていますしね。
teteria 大西 進
もちろんそれも良くて、美味しさもあるし、すごく理にかなってる所があって。あの「ご婦人のティーセット」みたいなものがあって、実際保温力とか、色の映え方とかも、本当に計算されているので完璧に出来上がっているんですけど、その完璧な世界に自分は入れなかったので。

じゃあもっと違う見せ方とか、自分たちの生活に合うような紅茶の形っていうのをやっぱりこう発見していかないとダメですよね。なのでなるべく、そうなるようにやってます。
PHAETON
自分たちに必要なものが
無いから作ったわけですね。
teteria 大西 進
そうなんです。たまたま自分がそこ入らなかったので、自分なりの紅茶を自由に楽しんでいる、って感じですかね。でもまだ自分だけが楽しんでいる感じなので、なるべくこう皆さんと一緒に、飲んでもらいたいですよね。なんか男の人が飲んでいてもサマになるような。女性が飲んでいてサマになるようなものって沢山あるんですけど、やっぱり一緒に楽しんで欲しいので。一緒に飲めるような。美味しい紅茶を楽しみたいですよね。
PHAETON
大西さんがその世界を
こうして作ってくださったので、
非常に飛び込みやすくなっています。
teteria 大西 進
本当ですか?
ありがとうございます。
PHAETON
自分で淹れると失敗して
渋くなってしまうこともありますが、
紅茶を自分で楽しめることが
嬉しいですよね。
teteria 大西 進
「渋い」っていうのもいいんですよ。「渋い」って言葉があるじゃないですか。その渋さの構造っていうのが、あってですね。甘いっていうのは、いい悪いの話じゃないですよ?媚びさせるってことなんですよね。渋いっていうのは真逆の、独りで立つってことなんですよ。そういうなんか昔の言葉でね、今はあんまり言わないかもしれないけど、「あの人すごい渋い」って言いますよね。そういう人って甘えが無いじゃないですか。
PHAETON
自分に厳しい人、
といいますか。
teteria 大西 進
そうそう。そういう言葉なんですよ。もともとは。「その「渋み」っていうのは、甘さの反対にあるようなものを持った飲み物なんです。紅茶っていうのは。これは「苦い」とも違うし、「酸っぱい」とも違う。「渋み」っていうのはそのそういう雰囲気をまとった飲み物なんです。なのでやっぱり昔ながらの「渋いなあ」という感じの人にも紅茶を楽しんでもらいたいですよね。味も寄り添っていくものだと思うので。
PHAETON
「渋い」楽しみ方もある、
ということですね。
teteria 大西 進
そうなんです。甘いものももちろん美味しいですよ。それでそれを知りつつ、先に甘さを経験した後の渋みっていうのもあるので、そこを楽しみたいですよね。僕も甘いものとか、甘い飲み物が大好きだった時もあるんですけど、今も作りますけど、そうじゃない飲み物の良さ、その渋さっていうのは、飲んだあとに爽快感を生むので、すっきりするじゃないですか。そこが魅力の一つですよね。飲み終わったあとに、すっきり。

紅茶に季節はありますか?

TEA WORKSHOP
teteria 大西 進
そうですね、単純に採れる季節が違う、ということですね。春摘みと夏摘みと秋摘みと冬摘み、というのがあります。冬は少ないですけどね。その採れる時期で、葉っぱの生育が違うので、作ってる所の気候で、温度が高い低いで、発酵が進む進まないとか、そういう色んな要素があってその季節ごとの紅茶っていうのはあります。

摘む時期によって味は全然違います。芳香も違って、これが同じ茶園で作ったお茶なんだっていうくらい違うんです。
PHAETON
同じ茶葉でそういう
違いが出るんでしょうか?
teteria 大西 進
そうなんです。時期で変わるんです。
春のお茶が出たら摘みますよね。
しばらくするとそこに、
2回目の葉っぱがのびてくるんですよ。
PHAETON
パッケージに書いてある
ファーストとかセカンドとかいうのが、
その時期を指しているわけですね。
teteria 大西 進
そういうことです。だから、ファーストフラッシュが春摘み、セカンドフラッシュが夏摘みです。それからまた時期が経つと新しい葉が生えてきて、それを摘む、という感じで。日本茶でいう、一番茶、二番茶のような感じですね。それで、味違いますし、それともまた関係なくその季節で飲みたい紅茶も変わってきますし。5月ぐらいから冷たいお茶が美味しくなってきますよね。夏は本当にほぼアイスティー。熱いが好きなひとはホットで飲むんですけど、そこのミントとかね。入れてちょっと清涼感を高めたりとか。そういう風にして季節ごとに変わってきますね。

9月10月ぐらいになるとあったかいお茶が飲みたいのでホットに変わって、もう少し秋冬になってくると、今度はミルクたっぷり入って、やわらかな飲み物でぬくぬくしながら飲むっていう感じに変わってきます。秋になると焼き菓子とかも美味しくなってくるので、そうすると、人によってはあったかいミルクティーで一緒に食べたいとか、あったかいストレートで飲みたいとか、そんな感じで、そういう違いもあります。

なので、やっぱり紅茶に季節はあって、季節で「飲みたいものが変わる」ので、飲みたい気持ちに合わせて色々淹れていくと楽しいと思います。
PHAETON
なるほど。そうすると、まずはteteriaで大西さんが販売開始される紅茶を順に淹れていけば、1年を通して季節の旬の紅茶が楽しめるわけですね。あとは自分の気持ちにあった紅茶を飲む、という形で。
teteria 大西 進
そういう感じにはなっていますね。あとは、「季節を越える」っていう楽しみもあります。真冬に青々とした春摘みの茶葉を飲むと、やっぱり春のことを思い出すんですよね。記憶装置なんです。一つの。

その緑色の、春摘みって緑色っぽいんですけど、それがポットの中でふわっと広がっていくと、その青々しさから春のことを思い出して、春の思い出が蘇ったり。そういうものですね。夏でも春でも、お茶って生の葉っぱを乾燥させてもんだりして加工して乾燥させるんですけど、そうするとそこで葉っぱの時間が止まるわけじゃ無いですか。
PHAETON
閉じ込められるわけですね。
teteria 大西 進
閉じ込められます。そこに、シーズンが変わって、自分の手元に届いて、お湯を注ぐと、また葉っぱに水がもどってふわっと開くんですよ。そこはやっぱり春のものは春の味が、そこでまた取り戻すというか、そういう楽しみもありますよね。
PHAETON
大西さんのお話は
色まで思い浮かぶようです。
雪解けで芽ぶくイメージですね。
teteria 大西 進
そうなんです。全く微動だにしていなかった、冬眠していたお茶の木が、やっぱり力を出してくるんですよ。春って寒いので、ちょっとしか(葉が)出ないんですよ。だから収量が少なくて、そのちょっと出たのを摘むから春は高級品なんです。元々の量が少ないから。
PHAETON
納得ですね。紅茶の味と香りが
「記憶装置」というのも、
気持ちを切り替えたい時に
役立ちそうですね。
teteria 大西 進
だからあれですよ、好きな女の子がいたらですね、ある紅茶を淹れるじゃないですか。で、「また会いたいな」とか思う時に、その紅茶を淹れると、その時の思い出とかがですね、葉っぱと一緒に開いてくるんですよ。笑
PHAETON
teteria 大西 進
そういう、
想起させる、思わせる、
そういう装置でもありますね。
PHAETON
PHAETONの店内では、フレグランスなどの香りがするのですが、再来店された際にまた香りを感じた時に、前回来店された時のことを思い出すという話を聞きますね。
teteria 大西 進
記憶と香りってすごく結びついているみたいで。20年ぐらい前に、すごく好きな子がいて。付き合っていたんですけど。その子のシャンプーがビダルサスーンだったんですよ。あの頃おしゃれな女の子はみんなビダルサスーンでしたね。それで別れた後にね〜、すれ違う女の子の香りがビダルサスーンが入ってくると、すごく思い出しちゃって。切なくて。笑
PHAETON
teteria 大西 進
だから香りと、記憶は紐付けされていて、それで香りと一緒に思い出が入ってくるんですよ。なので、お茶の香りとか、そういうもので重要な記憶を結びつけておけば、いつでもその思い出を呼び出せるわけですね。
PHAETON
紅茶で自分の
記憶のスイッチを
入れられるんですね。
teteria 大西 進
紅茶には、
そういうところがあります。

( PHAETON 坂矢 )現れる
SAKAYA
それはちょっと
盛り過ぎじゃないですか?
teteria 大西 進
ちょっと・・
盛り過ぎましたね。笑
SAKAYA
盛り過ぎましたね。笑
PHAETON
teteria 大西 進
坂矢さんが来るの
見えちゃったから。笑
SAKAYA
あはは!笑
PHAETON
teteria 大西 進
ちょっと
盛ったところがあります。
PHAETON
いえ、良いお話を
たくさん聞かせていただきました。
SAKAYA
これ全部ハッタリですから。
teteria 大西 進
ええ、全部ハッタリです。
teteria 大西 進
一同 笑
 
 

 

 


 

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