DAIBENKYO by PHAETON – 1/2

 

大勉強 by PHAETON   |  2020 SS
スペシャルインタビュー@蔦屋書店/代官山


PHAETONのスタイルブックを5号に渡り発行し、多方面からのお声のもと出版物として生まれ変わった雑誌「大勉強 by PHAETON」の創刊を記念して、東京の代官山蔦屋書店にて大勉強フェアを開催。その際に受けたインタビューを全編掲載いたします。

 

大勉強 by PHAETON

 

 

 

Q. PHAETONとは?


まず《大勉強》の元となったPHAETON(フェートン)というセレクトショップについて。

 

PHAETON

 

坂元さん


雑誌「大勉強」を編集ディレクションしました坂元です。隣が出版元であるPHAETON(※以下フェートン)の代表の坂矢さん。まずはフェートンについて、というところから始めようと思いますが、フェートンというお店は石川県加賀市にある店で、小松空港から車で10分ぐらいのところにあるのですが、ツリーハウスがあって、突拍子もない場所にある感じなんですが、中に入るとビンテージだったり、なぜか石とか大きな壷とかもあるんですけど、服屋さんということで、セレクトショップという店構えです。このフェートンというのは、坂矢さんにとってなんですか?

 

 

 

 

坂矢


難しいですね。いいなと思ったもの、その時ハマっているものがある。そのハマったものをお店に並べて、僕が大勉強して、勉強し終わったら倉庫に移動するという繰り返しをしている、そういう場所です。

 

Q .大勉強創刊の経緯


どのような経緯で創刊することになったのでしょうか?

 

坂元さん


物を並べて勉強しているっていうことでしたけど、それは結構納得のいく話ですね。大勉強にもつながると思いますし。まず大勉強を作った経緯ということなんですが、坂矢さんと出会ったあの日っていうのはいつだったんだろうかというと・・・

 

坂矢


GRAS(グラ)の日じゃないですか?

 

坂元さん


そうでしたね。いつだったんだろうって探してみると、4年前です。2016年に初めて坂矢さんに東京でお会いして、LAMPE GRAS(グラランプ)というライトの展示販売のイベントをしていたんですね。自分はそのランプを持っていなかったので、買いたいと考えていたんですが、坂矢さんに直接そのグラランプを紹介してもらったところ、すごく説明が面白かったんですよ。すごく奥の深い話をしてくれたし、単純に物欲が沸いたのがそこであって。それで、今度は語ろうってことになり。

 

photo by OLD JOE

 

坂矢


そうなんですよね、2016年。その時はフェートンが6年目で、僕がするスタイリングではない視点で、自分ではない他の誰かがフェートンの中をスタイリングする、表現するっていうのが面白いなと思ったので、坂元さんにお話をしたんです。坂元さんがフェートンの裏側をスタイリングをしたらどうなるのかと。

 

坂元さん


フェートンの裏側をスタイリングするっていうのは、すごく意味深な響きですけれども、最初はフェートンを掬おうとしていたんです。フェートンの要素をスタイリングして、カタログに落とし込むというようなページネーションでしたよね。

 

 

 

坂矢


そうです、そうです。

 

坂元さん


服、モデル、風景、的なものでしたよね。
モデルと服だけって言う撮影から始まって、最初はこんな薄くって。無地の、あんまり写真も載せないカタログから始まって。

 

 

 

坂矢


かなりこだわって作りましたよね。

 

坂元さん


そうなんですよね、色味とか。最初は服、モデル、風景っていうところから始まって、本当にフェートンから15分圏内のところで完成されていたんですよね。いい写真が撮れているんですよ。こういうところから始まって・・

 

坂矢


食レポですよね。

 

坂元さん


そうそう、この辺(Vol.3)からちょっとワイドになって。モノのページなどについて坂矢さんにちょっとお話いただきたいと。モノへの思いと、お勧めをしてほしいということで、坂矢さんの「すゝめ」っていうページを追加して。それに加えて、坂矢さんがかなり食にうるさいと言うか、食いしん坊なので食のページを。そして、そこまでやるんだったらその地域を含めて紹介してほしいなと。

 

 

坂矢


そういう経緯で僕の行きつけを全部ね。

 

坂元さん


そう、死ぬほど行きつけのお店を周ったっていう。結果的に、行きつけを紹介してもらうページが増えて、いろんな方々にわざわざ小松まで来てもらったっていうのも楽しかったですね。

 

 

坂矢


そうですね。

 

坂元さん


小松菜奈さんに来てもらったり。みんな良いですよね、やっぱり。それで最後にカタログって言うか、そのイメージブックがいきなり写真のカバーになり、これがやっぱり雑誌になるきっかけになった。

 

坂矢


そうですよね。強く石川県を・・なんていうんですか、 フィーチャー、特化して。

 

坂元さん


文化的なものを感じるようなものもあり、まず人が焦点になり、それを紹介をするページができたので、お店に所以のあるというか。

 

坂矢


石川県が必ず背景にあるんですよね。

 

坂元さん


そうですね、それが強調されましたよね。

 

坂矢


これから大勉強の本へ進んでいったんですよね。これは結構重要でしたね。

 

坂元さん


ここから大勉強っていうのが、雑誌にしようとか、もう少し全国的になんとか表現して見てもらいたいっていう、欲なんですかね、これは。なんなんでしょうね。もう少しチャレンジしたいっていうところですよね。

 

坂矢


溢れ出てきた感じですよね。

 

坂元さん


何の計画性も特になかったですよね。もともとは。雑誌を作ろうとはしていませんでしたから。

 

坂矢


そうなんですよ。溢れていった結果です。

大勉強っていう文字は、うちの看板を全て描いていただいている、NUTS ART WORKS(以下NUTSさん)という方から。ある日突然、NUTSさんが看板を作って送ってきたんです。それが3年ぐらい前。それで「いつも大勉強してるじゃん」っていう人がいて。その大勉強のロゴは眠っていたんですよね。そこから自然な流れで使うことになって。

 

 

坂元さん


そうそう、佐久間裕美子さんが大勉強って言い出し始めてっていうのがありましたけれども。ちょうど本を作っていたんですよ。別の本を。今後それも出るんですけど、物本みたいなものを皆で制作していて、そのチームの中に佐久間裕美子さんが居て。「次雑誌作ろうと思っているんだけど〜」っていう話の相談から、「大勉強じゃん!」みたいな。笑

 

 

坂矢


1秒でしたよね。

 

坂元さん


いいね、って。そんなノリでできてしまった「大勉強」です。はい。

 

 

Q .雑誌にした理由


あえてこの時代に雑誌にした理由、紙媒体の魅力とはなんでしょうか?

 

坂元さん


紙じゃなきゃいけないのかっていうのは、結構聞かれたり考えたりもしますけど、雑誌じゃないのに、このカタログのようなレベルで、わざわざこの紙で作っているんですかって、取材来てましたよね。

 

坂矢


来てましたね。

 

坂元さん


その時なんて言っていたんでしたっけ?

 

坂矢


ヒソヒソ話が一番効きますって。(繊研新聞取材)

 

繊研新聞

 

坂元さん


言ってた言ってた!

 

坂矢


「ヒソヒソ話が一番効きます」ってこのフレーズが一面のトップの見出しにもなっていたんですよね。この、本っていうのはヒソヒソ話感があるじゃないですか。Webじゃなくって。さっき話していた昆虫図鑑じゃないですけど、小学三年生のときに買ってもらった図鑑を今も持っているんですよ。それが紙の魅力だと思うんですよね。

あと、丸暗記できるのも、紙なんじゃないですかね。わからないですが。もしその図鑑のテストがあったとしたら100点取れる自信がありますよ。

 

坂元さん


試験に出ない勉強ですよね。

 

坂矢


それが一番の大勉強じゃないですか?

 

坂元さん


そうですよね。そこしか勉強しないですよね。

紙である必要性を考えてみて、今後どうするんだって考えてみたときに、ぶつかる壁みたいなものなのかなって思っているので、Webと紙っていう使い分けもあり得ると思うんですけど、それでも紙で出さなきゃいけない理由ってある気がしていて。この本に関しては。

なんでだろうと思ったんですよね。

 

坂矢


波動が乗り移るんじゃないですか、紙は。

 

坂元さん


波動がね。

 

坂矢


波動が。やっぱり紙だと見え方が違うんですよね。

 

坂元さん


全然違いますよ。

紙だと立体だなって思うし、あと我々がやっていることが、より紙じゃなきゃいけない内容なのかなっていうところもあるんでしょうけど。

 

坂矢


紙の方がスピードが早いんじゃないですか?そこを見たいってペラペラってめくるほうが。

 

坂元さん


確かにこの内容でそれをやろうとすると結構大変ですよね。マメに出せばいいんでしょうけど。

 

坂矢


山奥のテントの中でも読めますからね。

 

坂元さん


ずっと本や雑誌を買って読んできたから、紙以外の媒体にまだ違和感があるんですよね。紙じゃない形で知ってもいい情報もあるんでしょうけど、多分割と美術系ですよね。我々のやっている内容っていうのは。

 

坂矢


・・・コメディです。

 

坂元さん


コメディなんですね?
コメディだから紙じゃないといけないんですね。笑

 

坂矢


そういうことですね。
これは、面白いんですよ。

 

 

後半へ続きます