FOOTWORKS TAKESHI MORI

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人間の土台を整えるもの

人間は足で立っているじゃないですか、足っていうのは土台ですよね。僕はその土台を整えるものを作っているんですけれど、【土台が歪んでしまうと全身が歪む】ので、逆にその【土台が整っていると全身が整ってくる】という考えで、フルオーダーメイドのインソールを作っています。オーダーメイドインソール*⑴はドイツが発祥で、もともとは医療用だったものがスポーツ用になって、今は一般用になってという感じで広まっていって、日本に入ってきた感じですかね。靴で健康になるとか、足で健康になるという考え方を持っている方はまだまだ少ないと思いますね。

日本でオーダーメイドインソールができたわけ

もともと父*⑵が日本で一番最初にインソールを独学で作り始めた人で。なんでかというと、母が身体が弱くて、ほぼ毎日偏頭痛などがあって朝起きられなくて・・。当時、近所に車で少しいったところに腕の良い接骨院の先生がいたので、そこに毎日父が母を送り迎えしているうちに、患者さんたち見て気づいたことがあって。施術後に出てくるお客さんの姿勢が良くなっているんだけど、そこから終わって駐車場まで歩いていくまでにもうバランスが戻ってたりするのを父は見ていて。

父の母への思いやりがきっかけ

そこで、履物がよくないんじゃないか、足からなんとかできるんじゃないかって。そこで独学ですごく大雑把なことをやっていたんですが、やっぱり体の一番土台になる体の影響が大きいところで大雑把なことをしちゃうと、例えば「体が右に傾いてるから左だよね」みたいな調整を独学のインソールでやっていたんですが、そうすると好転反射*⑵ が極端に出ちゃうので、今のような繊細なやりかたに変わっていったというか。もとはそこですね。母の身体が悪かったからっていう。

父は怖かったですね。今は怖くないですけど。昔はすごく怖かった。お客さんに向かって、「わかんないなら帰れ!」みたいな(笑)。お金返すから帰れ、とか平気で言う人だったので。電話も年間何個も壊してたし、電話口でお客さんともめて。電話ってなんで壊れるんだろう(笑)と思ってました。

温度差

生まれたときから(父がインソール作成を)やっていたので何とも思わなかったというか、あって当たり前のものだと思っていて。だから温度差が大変だったというか、自分としては良いもので、みんな使っていて当たり前という感覚があったので「何でみんな作らないんだろう?」という温度差があって、ここ何年かでやっと気づいた感じですね。

「あ、そうか、みんな生まれた時から
そんなの(オーダーメイドインソール)知らないよね」って。

自分だけだよな、と。良さも知っていて、必要性も知っていて、そういうものが生まれたときからある環境なんて自分しかいないんだよな、ということに気づきました。

 

*⑴ オーダーメイドインソール
身体の歪みを根本から矯正するためのオーダーメイドで作るインソール。


*⑵ 好転反射
治療における一時的におきる身体の反応のこと


*⑶ 森 公一
日本で初めてオーダーメイドインソールを誕生させた、この道30年のスペシャリスト。体調不良に悩む妻のための独学のインソール作成から始まり、今ではトップアスリートや芸能人を顧客に持つ。スキーブーツチューンナップのカリスマであり、骨格調整の観点から行うブーツのカスタムメイドやインソール作成の他、整体なども行う。


FOOT WORKS      森 健|TAKESHI MORI

アスリートの足の悩みと向き合い続けて30年の熟練で、日本を代表するインソールの第一人者である森 公一を父に持ち、生まれた頃からインソールに触れて育つ。大学卒業後に本場ドイツへ留学し、帰国後に父の元で卓越した技術を磨く。2011年に下北沢にオーダーメイドインソール専門店 FOOTWORKSをオープン。身体のトラブルで悩んでいる方々のインソールを作り続けている。以来、数多くのトップアスリート、モデル、俳優を顧客に持ち、育った環境から得た膨大な経験則から、インソールだけでなく、利用者の日常身体動作に対しての適確なアドバイスにも絶大な支持を得ている。

 

 

 

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インソールの本場、ドイツへ

ドイツへちょっと行っていた(留学していた)んですけど、父がやっていることもずっと見てきていたんですが、父は多分自分が行きたかったから、代わりに僕を行かせたんですけど、やっぱり向こうの方はすごい骨格が強いので、あんまり繊細なもの(インソール)を必要としていなくて。ただ文化として、足が悪いと身体も悪くなるという認識があって、保険でインソールが作れたりします。そういう文化に触れられたことは良かったと思いますね。

 

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文化の違い、感覚の違い

どんなものを作っているのかなとか、あと履物の文化ですよね。(ドイツの)履物の歴史も長いですし、ただやっぱり靴売り場の試着スペースが日本とは比べものにならないぐらい大きかったなという印象はあります。歩く路面の状況も違うじゃないですか、だからこう、扱うインソールの厚さも変わってくるだろうし。あと、湿度ですね。この間ロンドンとパリに行ってきたんですが、湿度が大事だと感じました。例えば見る風景もそうですけど、食べ物もそうだし、湿度によって必要な物とかものづくりの感覚がすごい変わってくるなって感じましたね。

 

出張インソール制作

日本では全国地方を回ってインソールを作らせていただいているんですけれど、今は石川と福岡と行かせていただいていて。出張するようになって10年前ぐらいになります。
面白いですね。やっぱりこうその土地柄で色々、いろんな色もありますし、何しろその土地のご飯が食べられるのもすごい良いし(笑)、勉強にもなりますよね。

 

 

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土地によって違う、必要なもの

日本の中でもやっぱり北陸だったら北陸の生活の仕方とか。東京だとそんなに車に乗らないですけど、(北陸だと)基本車に乗るじゃないですか。あと、雪も降るしとか。生活の中で選ぶ靴も変わってくるし、インソールの強度もどこが必要なんだとかも勉強になりますし。あと、単純に、短期でいくのですごく集中するので、なんていうんですか、作業が早くなったりとかも・・しますよね(笑)。この機械(下北沢のオフィスに据え置きのグラインダー)も、吸うところが大きいだけで、削る部分はすごく小さいんですよね。だから、削る部分だけでも運べる物があって、先に現地に送っておいて、掃除機をつけて、回して削ったりとか。

手を抜けない、良い仕事

出張制作の場合もお客さんと対面してその場で作るんですけど、例えば何十人のお客さんを受付だけしておいて後から作るのは無理だなと思うので。やっぱりその場でお客さんの足を見て、話を聞きながら、感じながら作っていくのが一番。時間はかかりますけど、やっぱり良いものを作ろうと思ったら、そうじゃなきゃいけないなと思って。たまに外国人の方もいらっしゃるんですけども、やっぱり足が明らかに違いますよね。大きさとか強さが全然違うな、というのはありますね。

 

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歩き方を見るだけで。

手順として、ピンポンって(FOOTWORKSの工房に)入ってくるじゃないですか。もう入ってきたときに、身体の癖ってなんとなくわかるんですけど、「ああ(こういう癖)なんだな」って思って、靴と靴下を脱いでもらって足型をいただきます。

4足歩行→2足歩行

もともと人間が4足歩行の生き物だったのが、立って(2本足で)歩くようになったことによって、いろんな不具合が絶対出てくるはずなんですけれど、やっぱりみなさんトラブルを抱えられている方は多いですよね。

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性格 = 足型

足型をいただいて、「ああ、やっぱりこうだな」と(確認・確信して)、それが設計図みたいな感じで、それを元にインソールを作って、それで足のケアの方法とか自分でできる方法とかも伝えさせていただいて、しゃべりながら作っていくんですけれども。「ああ、せっかちだなぁ」とか(笑)、わかりますよ。「短気だな」とか、色々、わかりますよ。わかります。

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要は足って絶対に、その、生活している中で体重とかかかるわけじゃないですか。それでどこに体重がかかっているか、どういうふうに捻れているとか、全部見えるんですけど、だからこういう身体の使い方なのかとか。逆もあるんですけど。こういう風に身体を使っているからこういう風に捻れているんだなとか。

(身体の)動かし方とか見ていて、なんか、ありますよね。そういう、せっかちだなとか、頑固だなとか…。「立ち仕事なんだな」とか、そういうの(日常の生活環境による身体の特徴)はわかるんですけど、なんかこう性格の部分。結局「性格」を直さないと、身体と足って治らないのかなって(笑)。要は身体の使い方なので(身体を動かす人間の)性格も含まれてくるじゃないですか。だから、それを治すために、今どういう状況で、どこが正しいっていうのを、ちゃんと伝えさえていただくことが大事で、それを治すためには、どうしていきましょうみたいな流れなんですけども。

千差万別、信頼関係

それで、なんていうんですかね、結局、信頼関係と説得力がすごく大事じゃないですか。あの人に来てもらおうとか、あの人とはこういう話ができて、こういうこともわかっているから、こういうニュアンスも伝わるんじゃないかとか、そいいうのがすごく大事だと思うんですけども。自分もあの人にだったら作ってもらいたいし、あの人だったら良くしてくれるだろうって思われるような人間性に、当日(対面してインソールを作る時)までになってなきゃいけないな、と思います。

その人に合った、的確なアドバイスを

「こういうことに気をつけて欲しい」とか、「こうして欲しい」とか、「こうなってるから、こうした方が良い」とかっていう話をしながら、作って、削って、それでできたものに乗っていただいて、靴に入れて履いていただいて、ちょっと歩いてみて、意識することとかを一人一人、お伝えして、言い方とかニュアンスを(人によって)変えているんですけど。そうしてまた、1回で完成にはならないので、履いていただいて、(数ヶ月後に)良くなった感じを見て、また調整して、というのを2回ぐらい繰り返して仕上げるんですけれども。まあ、そういう流れになります。

 

「究極の職人」に作ってもらう意味

PHAETONではおよそ3ヶ月〜半年に1回、定期的に森さんにお越しいただいてインソールの新規作成と修正ができるイベントを開催しています。修正の多い方で3回ほどで完成するので、身体の矯正に無理のないペースで、およそ1年内で完成することになります。

近年、医療用インソールが普及してきたことで、オーダーメイドインソールの名称も目にする機会が増えてきました。しかしながら、日本のオーダーメイドインソールの第一人者であり、経験でしか測れない矯正のニュアンスを実体験をもって人生をかけて得てきた森さんに作ってもらえるのはここしかありません。父の代から30年以上の歳月をかけて蓄積されたデータは、森さんの中にこそ存在しています。

「究極の職人」と称される所以は、ここに。

足と健康の工房
FOOTWORKS

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美しい脚になるために

「どういう脚が美しいか」っていう所も、問題にはなると思うんですけど、ただ細ければ綺麗(という単純な話)とか、あると思うんですど、やっぱり「歪みのない脚」が綺麗かなと思うので、つま先の方向をこう、進行方向に向けてまっすぐ歩くことが一番必要かなって思いますね。大体の方がつま先をちょっと進行方向から開いて、外股に歩いている方が多いんですけど、少し意識していただくだけで捻れも減ってきて、歪みも減って綺麗な脚にはなりやすいと思います。

ハイヒールと身体作り

ハイヒールを履かなきゃいけないシチュエーションもあるだろうし、ハイヒールを履けてすごいこう気分が上がる女性がいることも分かっているので、ただ、やっぱりこう毎日履くものでもないと思いますし、身体に歪みや捻れを整えるようなものを普段から履いておいて、ハイヒールとかを履いてもバランスだったり体の歪みだったりそういうのを崩さないような身体を作っておくことが大事なんじゃないかなとは思います。

オリジナルの靴作り

靴はちょうど2年前(に発表・受注オーダー開始)ですね。まだ2年経ってないんですけど、どうしてもその、インソールを喜んでくれる方は多かったんですけど、「ああ、もうちょっとこういう靴に入れたらもっと効果が出やすいのにな」とか、そういうジレンマみたいなものがずっとあって、だったら作ったらいいんじゃないかと思って。

 

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オーダーメイドインソール専用靴

で、インソールの効果が一番出やすいような設計で作って、メンズもレディースも各サイズ用意しておいて、一番合うサイズで履いてもらって。そこからさらに一人一人に、幅と甲のボリュームと、いろいろ細かい調整をかけて、オーダーで作ってるんですけど、足型を取ってインソール作ってからですね。

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一足一足オーダーメイド

それでインソールを入れて、履いてもらって、一番合うサイズでそこからさらにどこがキツイとか、ここは緩いとか調整かけて、一足一足オーダーで作ってる感じですね。ここもやりたかったというか、どうしてもインソールの効果がもっと出るような履物もトータルでこうできたらなあと思って(いたので)すごく楽しいというか。

 

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意識修正のアドバイス

インソールっていう身体を整えるものを作っているんですけど、やっぱりその、うまくそれ(インソール)を自分の身体にいい位置にフィットさせていくというか。自分の頭の理解と、実際の(インソールの)位置と、というのがマッチしないこともあるんですけど、でもそれを意識でこうなってるからこうしてくださいみたいなことはアドバイスはさせていただいてるんですけども。

嬉しい瞬間

こう自分の作ったもので、ものすごく喜んでくれて感動してくれる方が、あの、たまにいらっしゃるんですけど、そういう瞬間というのはやっぱり「ああ、やっててよかったな」って思いますね。そういう瞬間が一番嬉しいですね。あのお客さんがこう、良くなってるっていうのも自分で実感していただいて、喜んでる姿を見ると、僕もすごい嬉しいですね。

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*本稿はラジオ出演「Cosme Kitchen ORGANIC CONCIERGE – J-wave」から森氏より許可を得て引用・テキスト編集したものを解説付きで記事としたものです。