PHAETON FRAGRANCE LONGBAR

日本人と香水のはなし

年間消費量3~5リットル
これは、何の数値かわかりますか?

なんと、ドバイなど中東諸国での香水の使用量の平均なのです。日本だと香水をよく使う人で約100mlと言われていることからすると、もはやどう使っているのかわからないレベルの数値です。わかりやすく日本人で同じぐらいの消費量のものをあげると、シャンプーです。ほとんどの人が、毎日当たり前に使うものですね。それくらい中東諸国では、香水は毎日当たり前に使う日用品になっているのです。

世界的に見ると日本人は、香水を使う習慣が少ないと言われています。実際、日本(人口1億2,000万人)の香水の市場規模は、フランス(人口6,500万人)の3分の1というデータも。フランスの新聞ル・モンドには、〝「好きな香りを自由にたしなむこと」は「空気を読まないこと」だと考える日本の国民性が香水が売れない理由″という記事が出たこともあるのです。

場違いな香水の付け方をしていたら欧米でも同じことだと思いますが、湿度が高く、人口密度が高いことから人と人の距離が狭い、そして、人の調和を大切にする文化からより抑止力が強くなるということなのでしょう。他にも、肉食文化ではない日本人にはあまり体臭がなく、そうした文化的背景が香水を使わない理由だともいわれます。

かといって、日本人が香りが嫌いかというとそうではありません。旬の食材を大切にする日本料理の香り、紅茶やアロマテラピー、柔軟剤や部屋の芳香剤など、香りにこだわりを持つ人は多くみられます。昔から香道という、香りを鑑賞する芸道があるのも日本独自のもの。そして、春夏秋冬という四季の中で生活そのものが香りに包まれているのです。

また歴史的背景を見ると、平安時代の貴族社会を描いた日本最古の長編小説「源氏物語」は、たびたび「香りの物語」とも言われ、季節の花の香りや、衣類に焚き染めた香など、物語の進行の大事な小道具として「香り」が頻繁に登場します。またこの頃には「追風用意(おいかぜようい)」という言葉があり、通り過ぎた後に良い香りを漂うように着物に香を薫きしめました。この手法は「衣香(えこう)」と呼ばれ、「源氏物語」にも「薫衣香(くのえこう)」として登場します。この時代から、自己表現として「香り」を活用していたのです。

むしろ、「香り」というものが大好きな国民なのではないでしょうか。


香水も同じです。事実、香水の市場規模自体は近年高い伸び率を示しているよう。欧米ににはまだまだ及ばないものの、香水を使用する習慣が増えてきているのです。もともと四季の香りを楽しむという文化がある日本人だからこそ、自分自身に香りを纏うということも楽しんで生活の一部にしていくのでしょう。そのうち、中東の人々のように、香水を毎日使うことが当たり前=生活必需品となる日も近いのかもしれません。




少し前になりますが、
店頭でのお会計の際にお客様が一言


「これは生活費から出します!」


と仰って香水をご購入いただきました。
きちんと家計管理をされている方なのでしょう。
そして、贅沢品と言われがちな香水ですが、
毎日使うものだから日用品の
くくりに自然と入ったようです。



あなたにとって、
香水は贅沢品ですか?
それとも、日用品ですか?




《参考資料》
・日本における香水の歴史
名古屋外国語大学論集第4号 高柳美香・著




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