NUTS ART WORKS

NUTS ART WORKS Interview at PHAETON

 

NUTS ART WORKS × SAKAYA
ナッツさんとPHAETON|坂矢の関係性

 

 

Q.

「PHAETONのサイン=ナッツさん」なのですが、今までにどのような交流があって、こんなにNUTS ART WORKSのサインがあるのか、みんな不思議に思っているところで、 その関係性が気になるところです。長く交流があるということだけはなんとなくわかってらっしゃる方は 多いと思いますが、その出会いについて、 本日は具体的にお聞かせいただければ。


Sakaya

これは結構、人から聞かれます。笑


Nuts

一番はじめはバイクのペイントだよね。


Sakaya

そうですね。


Nuts

(当時は)俺もまだ、 そこまで忙しいって感じでもなくて、


Sakaya

ギリ20代ですよね、まだ。


Nuts

20代かね?坂ちゃんがまだ10代の時だよね。


Sakaya

そうですね。


Nuts

その時に、なんかロシア語みたいなのを
バイクに描いてっていうのを頼まれたのが 交流が始まったきっかけ。


Q.

それは、(坂)がナッツさんの アトリエに乗り込んでいったんでしょうか?


Sakaya

家が近かったんですよね。
五本木の通りを歩いていたら
ナッツさんが描いた
エルカミーノかなんかがあったんですよ。
駒沢通りに。


Nuts

あ〜!うん、うん。


Sakaya

ボンネットに描いてあるのをみて、
「うわ〜!」ってなって、ファクターがあって。


Nuts

ファクター通したんだっけ?


Sakaya

あれは通してないですよ。
ナッツさんと携帯番号を交換して。

Nuts

そうだっけ?


Sakaya

そうですそうです。それで、
M&Mが積んであるところに行きました。
そこで描くっていって。

Nuts

俺がまだ、場所を構えられて
いないぐらいの時だったから、
M&Mの場所を借りて、
バイクに描いたっていう。
田園調布のね。

Sakaya

そうですね。


Q.

車に描かれたサインを見て、
描いた本人を探したら
ナッツさんだったんですね。

Sakaya

ファクターの目の前に止まってたんですよ。


Nuts

うん。


Sakaya

あれは誰のものだったんですか?


Nuts

あれはお店の車として使ってたやつだね。


Q.

そこからもうずっと この関係が続いているんでしょうか?
時々注文しては描いてもらって、 というような。


Sakaya

まずはそれが最初の1回ですよね。


Nuts

はじめはそんな頻繁じゃなかったよね。
次会ったのは「店を始める」みたいな
感じの時じゃなかった?

Sakaya

そうですね、店を始めて少ししてから。


Nuts

車に描いたよね。前あったベンツのやつね。

 


Sakaya

そうですそうです。仕事じゃないやりとりでは、その前にも何回かありましたよね。アトリエに遊びに行って、ちょっと喋ったりとか。


Nuts

うん。


Q.

頻繁にやりとりが始まったのは
それからなんですね。

Nuts / Sakaya

そうそう。


Nuts

あの時の車はもうかなりガッツリ描いて、それからはもうポツポツ、って感じではなくて、割と密にやってたよね。次の店をやるんでとか話しながら。

Q.

当時は数ヶ月おきにPHAETONをのぞくと頻繁に新しいサインに変わっているという状態でしたよね。あれだけのクオリティのサインが行くたびに増えたり変わったりしていて、訪れた人にとっては驚きでした。当時、年代設定の違うサインが並んだりしていましたよね。

Sakaya

大阪の時にそうだったんですよね。大阪PHAETONの時は少し年代を変えながら作ってましたよね。

2012.3  –  2012.8/
期間限定店舗 PHAETON 大阪南船場


Nuts

そうだね。


Q.

やはり新しいサインを起こすときは、お題を出して、ナッツさんがそれに応える感じなんでしょうか?

Nuts

最初はそうだったんだけど、最近はお互いマイブームで「これ面白いよ」「これやろう」ってなったり、「これ面白いよ」って言って「じゃその看板お願いします」ってなったり。ま、そんな感じなんだよ。最近は。

Q.

もうオーダーというよりは「お任せ」だと?


Nuts

「マイブームおまかせ」だよね。


Nuts / Sakaya


Sakaya

マイブーム投げ合いからの
マイブームお任せ。

 

 

 

THE LMS GALLERY

2011年に発足した、カメラ部活動。
不定期に更新される、NUTS ART WORKS率いる 謎の集団。

 THE LMS GALLERY

 


Sakaya

それで、そこから
カメラにいったんですよね。

Q.

LMSはそれがきっかけで
始まったんでしょうか?

Sakaya

もちろん。

当時ナッツさん
ローライ買おうとしてましたよね。

Nuts

ローライだっけ?ハッセルじゃなくて。


Sakaya

あ、ハッセルです。
そこに僕が 「はい、ちょっと待ってください」と。 ライカの話になって。
アトリエで延々と。延々と話して。


Nuts / Sakaya


Sakaya

そこからの流れですよね。


Q.

そこでナッツさんは
説得されてしまったんですね。

Nuts

そうだよね。


Sakaya

画伯(ナッツさん)がのめり込んで、
LMS GALLERYっていうのを 発足しようって。


Q.

そこからLMSを始めてしまうまで すごいペースですよね。
周りで見てる方は、 なんかライカすごいなって思い始めた頃には
もうLMSができちゃった感があります。


Nuts

あ〜。わりとそこまでは早かったかも。


Sakaya

のうち、6・7回? 毎日のようにメールしてて、
それもレンズの話のみ。


Nuts / Sakaya

アハハハ!!


Sakaya

お互いが欲しいレンズをもうわかってて、「今大阪にいるんですよ」って言ったら「〇〇カメラ?」 「もしかしてあのレンズ?」って。「だよな〜」ってナッツさんが言うんですよ。

レンズまで指定して当てちゃう。わかっちゃう。今あそこにはあのレンズがある。って。全国の在庫把握してましたから。笑

ある日、正月に、超解放レンズ「ノクチルックス」 っていうのがあって。それがどうしても 欲しいってなぁってなってて、いよいよ、 誰が最初に買うのかっていう 空気が流れていたんですよ。 二人の間で。


Nuts


Sakaya

そしたらまさかの。 二人とも元旦の同じ日に買っていたという。


Nuts / Sakaya

アハハハ!!


Sakaya

同じ人から買ってるんじゃないですか?


Nuts

あれどこで買ったんだったかな。


Sakaya

オンラインショップですよ。
同じ日に、二人してポチったんですよ。


Nuts / Sakaya

アハハハ!!


Q.

すごいですね、そのレンズは
「ここまでいったら最高」っていう
行き着くところなんでしょうか。


Sakaya

どうですかねー、画伯。


Nuts

なんか一回は 明るいレンズにガーッと興味が行くので、
明るさが最高峰だから。 出てるレンズの中で。
そこに一回行っちゃうんだよね。


Sakaya

ライカを持っていて、
ノクチにいっていないっていうことが
「負け」た感がある


Nuts

アハハハ!!


Q.

そこまで一瞬で行ってしまうんですね。
しかもそこからLMSの
オリジナルグッズまで作ってしまうという


Sakaya

それはやっぱり画伯が、インプットしたものをアウトプットするっていう感受性があるから、 すぐに出てくるんだと思うんですよ。すぐに「おじさん」が出てくるし。 そういうことですよね。生み出すというか、現れるというか。


Q.

すぐ昇華させてしまうんですね。


Nuts

すぐに欲しいものが作れる環境に今あるから、
作れる人もいるし。
そうなると、「あれ作って」ってなるよね。


Sakaya

ケース作ろう、バッグ作ろう
・・・で
「エアフレッシュナー」作ろうって。


Nuts

カメラ全く関係ねえっていう。


Nuts / Sakaya

アハハハ!!


Q.

あのLMSおじさんは、 いたるところで見かけますね。
石川県で結構おじさんを 付けた車が走ってます。


Nuts

へ〜


Nuts / Sakaya

 

 

 

日本語サイン

Q.

ナッツさんのインプットとアウトプットを繰り返す中で、どのタイミングで最近発表された「日本語サイン」が出てきたんでしょうか?


Nuts

日本ぽいものは、もうずっと前から その気はあったんだけどさ、仕事としてやるのは ちょっと微妙だなと思ったりしてた。なんかこう、「なんでも出来る屋」さん になっちゃうというか。ただもう、今回は 「呼ばれちゃった」感じだよね。完全に。もう「やったほうがいいよ」って 言われてる感じ。


Sakaya

もう飛び越えたってことですよね。
ポンって。


Nuts

そうだね、仕事として受けてもいいな、 むしろやりたいっていう風に
今は考え方が変わっちゃってるし。


Q.

ナッツさんは書道などはされているんでしょうか?


Nuts

書道はやったことないんだけどね、
もう最近はそういう資料ばっかり買ってる。


Q.

ナッツさんのサインの日本語は、筆の運びが、よくあるレトロ調の書体のようなものではなく、日常的に筆を使っていた時代や中国の石碑などに残る筆文字のような、生きた表情を持っています。 完全に看板屋の一線を飛び越えてます。


Nuts

けど、まあ、そこで思うのは
書道であれを書ければすごいんだけど、
俺の場合、デザインをちゃんと考えて
こう、やってるからね。


Sakaya

うんうん。


Nuts

スラスラスラって書いてるわけじゃないから。
そこはやっぱり、負い目は感じるけどね。


Q.

頭の中にあの絵が描けていないと
文字のプロポーションが成立しない、
という意味では
サインとしては完璧だと思います。


お気に召すスタイル

Q.

今PHAETONで使っている、 NUTSさんのサインから抜粋した「お気に召すスタイル」という フレーズなんですが、この辺の言葉というのは NUTSさんが考えられているのでしょうか?


Nuts

昔の、昭和の広告集とか、 やっぱり今と言葉の使い方が 違うっていうかさ何か独特な感じがあるから、そういうのを結構拾い集めて、あてはめるっていうか、 そういうことをやってる


Q.

面白いです。リニューアル前のフェートンにあったカウンターの棚に、縦書きのカタカナと漢字で 「フェートン洋品店」 と金で入れられたものが大きく日本語が取り入れられた 最初のサインでしたが、日本語がこんなにマッチする形で 取り入れられるものかと衝撃でした。

2015年ごろのPHAETON シンボル的なカウンターにて/
ナッツさんとOLD JOEデザイナー高木さんと


Q.

このころには結構手をつけ始められていたんでしょうか?


Nuts

趣味ではもう結構ネタを見てたり、
やってたんだけど
仕事としては何かでやって、
発表するとかはなかったね。


Q.

海外で大々的に日本語サインを
出されているのを見て、ハッとしました。


Nuts

じわじわ来ていたっていうのもあるし、いい機会だからどうせ外国行くんだったら、日本語のフォントで持って行った方が、でっかい古臭いのが、迫力ある看板持ってった方がいいなと思って。そうだね、あれは意外に、 狙ってやったっていうか。


Q.

あれを機に海外から日本語で
サインのオーダーも来ているんでしょうか?


Nuts

ないねぇ!実際。笑


Q.

では今から告知されていくんでしょうか。


Nuts

まあそうだね。 今だって別に自分から
宣伝してるわけじゃないからね。


Q.

フェートンの今回のイベントに合わせて
日本語のサインを複数用意された
というわけでもないんでしょうか。


Nuts

うん、もともと今の店内に 置く看板が欲しいっていうので、どんなのがいいかな〜っていう話は 結構前からあったんだけど、思い切って、これは、 ジャパンブームが来てるから、俺に。漢字とかそういう感じでやらせてって言って。描いてきちゃった感じだね。


Q.

NUTS ART WORKSの丸ロゴがありますが、 日本語版もそのうち?


Nuts

あ〜、いや、あれはあれで。
どうなんだろう。
あれの日本語版は考えてないね。笑


Q.

PHAETONの新サイン、
ありがとうございました!

 

2010 – 2016  PHAETON

 

 

 

ARCHIVES BOOK

日本のサインペインターのパイオニア。 SIGN PAINTER “NUTS ART WORKS” 228ページに及ぶアーカイブブック。 「看板屋と旅人は嘘をついても許される」

21世紀の商業デザインにおける、静かなる革新。

 

He is a pioneer of Sigh painter in Japan “ NUTS ART WORKS “ 《SIGN PAINTERS AND TRAVELERS HAVE LEAVE TO LIE》

For the 21 century commercial design

“Quiet Innovation”

 


NUTS ART WORKS

1996年にサインペインターとしての活動をスタートし、 数多くのショップサインや、ブランドのグラフィックを手掛ける。2014年、独自の世界観で作品を作り続けてきた活動の約17年間の中から店舗数45店以上、作品数250点以上をまとめたアーカイブブック「SIGN PAINTERS AND TRAVELERS HAVE LEAVE TO LIE 」が完成。