人間は体内を巡る4種の体液のおかげで、
そのバランスが保たれている。
byヒポクラテス
古代医学から唱えられてきたこの『四体液学説』からインスピレーションを得た、La trilogie des Les Humeurs(ラ・トリロジー・デ・ジュメ)は、リキッッド・イマジネの中でも一番新しいトリロジー(3部作)。
毎回、シリーズごとにコンセプトを掲げ、3つの作品(トリロジー)を発表しているリキッド・イマジネ。それは、まるで3冊で構成された物語のよう。このトリロジーの香水一つ一つがキャラクターであり、他の2つのキャラクターと関わりでそれぞれの役割を担い、補い合い、ひとつの完全なストーリーを紡ぎ出すのです。
そんな、物語の最新作であり、フレグランスロングバーのオープン時から、私たちを魅了してやまないトリロジーを少しだけ深く知ってみませんか?
『四体液学説』とは、、、
血液、粘液、黄胆汁、黒胆汁の4種類を人間の基本体液とし、その調和によって身体と精神の健康が保たれ、バランスが崩れると病気になるという古代ギリシャやインドで唱えられた考え方。
現在、医学的には否定されていますが、19世紀ごろまでは医学の主流でもあり、人の気質に影響があると考えられていました。そこから派生した4気質の概念(胆汁質、多血質、粘液質、憂鬱質)は、現在でも自分自信を知る一つの指針として、教育やアロマテラピーの分野などで活用されています。
リキッド・イマジネにとって、トリロジーにおける3という数字は、完璧な均等であり非の打ち所がないバランスの取れた世界を築き上げることができるもの。
また、『四体液学説』において、4つの液体のバランスは、心身の調和を保つために、必要不可欠なもの。
奇しくも、2500年前に唱えられた学説と、リキッド・イマジネの創作プロセスは、通じるものがあります。
「La trilogie des Les Humeurs」では、LA-CRIMA(ラクリマ)、MELAN-COLIA(メランコリア)、PHAN-TASMA(ファンタズマ)の3つのキャラクターが、まるで媚薬とその解毒剤のようにお互いを補い合い、ひとつの完璧なストーリーを作り出しているのです。
香りは、軽やかで美しい香り。その神秘的な美しさによって身体に働きかけ、私たちの想像力を高めることで精神に働きかけるかのよう。血液、粘液、黄胆汁、黒胆汁の4種類の体液のバランスを補うために与えられた不思議な力のように、嗅覚という感覚を通じて、体全体にいきわたるような感覚さえ覚えさせます。
リキッド・イマジネは、ある状態を捉え、人生の様々な瞬間、欲望、力の弱さを記憶します。
香水は、私たちの最も親密な部分を反映しているのです。
by フィリップ・ディメオ
(リキッド・イマジネアーティスティックディレクター)
今日選んだ香りは、あなたのどの部分を反映しているのでしょう。
香水という神秘の液体は、あなたの本質的な部分を移す鏡なのかもしれません。
そしてその香りには、心や身体のバランスをとり、自分を律する力があるのです。
リキッド・イマジネのクリエーションの源は、そんな『香水の可能性』への飽くなき興味と探究心から来ています。
四体液学説を提唱し、「医学の父」とも言われたヒポクラテス。病気は災いとされ、魔法や呪術など非科学的な物で治すとされていた古代ギリシア時代に科学医療を初めて提唱した偉人です。
「人は身体の中に100人の名医を持っている。その100人の名医とは自然治癒力である」という言葉にもあるように、医者という立場でありながらも、その力はあくまでもサポートであると考え、食事や環境、生活習慣で病を治す、そんな人間に備わっている力を信じました。
『人間の可能性』を信じた人。それがヒポクラテスという人物なのです。
『香水の可能性』と『人間の可能性』
2つの可能性が融合したトリロジーは、感覚をより高みへと目覚めさせてくれるような不思議な力を持っています。
ー目に見える液体が揮発し、見えないけれど、確かにそこに漂う存在感ー
リキッド・イマジネの作り出す神秘の液体によって、私たちは新たな自分に出逢うことができるのかもしれません。
<参考資料>
・大勉強byPHAETON Issue1
・医学の歴史 丸善出版株式会社 William Bynum著
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