香りがもたらしてくれる効果・効能は、香り好きのあなたなら、日々実感していることでしょう。植物の香りのパワーを心身の健康維持を行なうアロマテラピーは、今や医療の現場でも用いられています。昔からあらゆる場面で、香りの恩恵を受けている私たちですが、香りの良いところを解いた詩文があることをご存知ですか?
その名も「香十徳(こうじっとく)」
1.感格鬼神(かんかくきじん)・・・感は鬼神に格(いた)り
2.清淨心身(しょうじょうしんじん)・・・心身を清浄にし
3.能除汚穢(のうじょおえ)・・・能(よ)く汚穢(おわい)を除き
4.能覺睡眠(のうかくすいみん)・・・能(よ)く睡眠を覚し
5.静中成友(せいちゅうじゅうよう)・・・静中に友と成り
6.塵裏偸閑(じんりゆかん)・・・塵裏(じんり)に閑(ひま)を偸(ぬす)む
7.多而不厭(たじふえん)・・・多くして厭(いと)わず
8.寡而為足(かにいそく)・・・寡(すくな)くして足れりとす
9.久蔵不朽(きゅうぞうふきゅう)・・・久しく蔵(たくわ)えて朽ちず
10.常用無障(じょうようむしょう)・・・常に用いて障り無し
もっと簡単に説明するとこのような感じです。
1.感覚が鬼神のように研ぎ澄まされ集中できます。
2.心身を清らかにします。
3.けがれや汚れを取り除きます。
4.眠気を覚ましてくれます。
5.孤独な時に心を癒してくれます。
6.忙しい時にも心を和ませてくれます。
7.多くても邪魔になりません。
8.少なくても芳香を放ちます。
9.長期間保存してもいたみません。
10.常に用いても害がありません。
たった40文字ですが、ここに表された香の効能は、現代の私たちが感じていることと同じなことに驚かされます。誕生の背景は諸説あるようですが、一番有力なのが、
960年ー1127年の中国王朝「北宋」の詩人・黄庭堅(こうていけん)が作った詩であること。
その後、一休禅師(あの一休さん!)によって日本に紹介されたというもの。
アロマの効果を記したガットフォセの「アロマテラピー」が出版されたのが1930年頃なので、東洋では、それよりずいぶん前に、香りが心体に与える影響を説いていたのです。
それまで、なんとなく香りに癒されていた人々は、「香十徳」によって香りの効能をより実感したことでしょう。
そして、それを広めた一休さん。とんちで有名になるくらいなので、頭のキレる人物だったのでしょう。
きっとその背景には、香りの恩恵があったに違いありません。
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